コロナ禍の昨今、皆様いかがお過ごしでしょうか。
昨年の更新が反映されておらず、
毎年ほぼこの舞台鑑賞記のみが更新されるこのブログ、
2年分を纏めてアップさせていただきます。
今年はコロナ禍を受けて春先以降多くの公演が中止・延期等に追われる中、
例年に比べぐっと鑑賞数は減りましたが、秋以降の鑑賞においても新時代の生活様式を踏まえた鑑賞方法に戸惑いつつ、舞台の熱気に明日への意欲と勇気をもらったのも事実です。
それでは、2年分を少し駆け足で。
2019年度
第3位 フロウ・ルナ(5月4日) ドレスデン・オペレッタ劇場
ベルリン・オペレッタの傑作の初鑑賞。ストーリーは、月世界旅行をテーマにした荒唐無稽な内容だが、歌・芝居共、芸達者な座付き歌手による楽しい一晩だった。
第2位 ドン・バスクワーレ(11月)
個人的に大好きなオペラ・ブッファの新国立劇場での初上演。ヴィツィオーリの演出はオーソドックスで舞台も極めて美しいもの。ロヴァリースの軽快なタクトの下、歌手陣も粒揃い。中でもスカディウツィの練達の芝居とトロシャンの美貌が印象的。
第1位 マゼッパ(12月)
マリインスキー劇場の来日公演の一つとして、演奏会形式での一晩だけの上演。冒頭からゲルギエフの熱の籠った指揮でオーケストラ・コーラス共に音量が凄まじく、その迫力に圧倒された。歌手陣も劇場座付きの若手の歌手が中心だったが、いずれも力唱。
2020年度
本年度は鑑賞数が極めて少ない上、ジャンルを跨いでいるので、順位はつけ難く、印象に残ったものを3つ列挙することにしたい。
ラ・ボエーム(1月26日)
個人的には少し苦手な演目だが、カリニャーニの精彩溢れる指揮の下、歌手陣も良い意味でこじんまりとバランス良く纏まり、最後はほろりとさせられた。中でもミミを歌った、オペラ界のアンジェリーナ・ジョリーことニーノ・マカイーゼが必ずしも本人に合っている役ではないように思うが、声・演技とも録音等で聞くよりは数段舞台映えし、従前の印象が一変した。
ヴァイオレット(9月4日)
顔に傷を負った女が再生する旅路を描く、ロードムービー的なミュージカル。藤田俊太郎の演出は、基本的に舞台中央に置かれたバス車両の座席を回転・移動させるだけの比較的簡素な舞台だが、この舞台と演者の動かし方が何とも俊敏で、曲自体の良さと迫力もあって、非常に感銘を受けた。また、主役の唯月ふうかの持ち味はあまりこの役には合っていないように思うが、歌・芝居共素晴らしかった。
夏の夜の夢(10月4日)
ブリテンのこのオペラ、シェークスピアの戯曲を題材としているが、曲・演出共に良くも悪くもスノッブで十分にこれらを消化できたと言えばウソになるように思うが、芝居で見るよりも演目として楽しめた。ただ、新生活様式に合わせて演出を直しているからなのか、曲自体の印象なのか、よく分からないが妙に演者の遣り取りに少し距離があって間延びしているような感覚を受けた。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
今年が皆さまにとりまして、良い一年となりますように。