新年のご挨拶と2018極私的舞台ベスト3

皆さま、あけましておめでとうござます。

昨年は本当にお世話になり、ありがとうございました。

今年も何卒よろしくお願い致します。

さて、もはや年1回の舞台鑑賞記を更新するだけのブログになっておりますが、これを楽しみにして下さる少数の方もいらっしゃいますので、懲りずに今年も書かせていただきます。

第3位 ビゼー「カルメン」 (11月25日午後2時、新国立劇場)

新国立劇場の今年の公演は全体的に不作で、それらの中では既に何回か再演を繰り返している「カルメン」が主役に人を得て、思いの外良かった。

カルメンという役、生の舞台では不思議と、メリメの原作に沿った魔性の女に相応しい舞台姿と歌声を兼ね備えた歌い手に巡り合わず、妙にお上品ぶっていたり、変にセクシーさを強調していたり、いつも何か違うと思って帰ってくるのが常であるが、今回の主役、ジンジャー・コスタ・ジャクソンは、妖艶な容姿と適度にハスキーで下品(勿論、いい意味で言っています、褒めています・・・)な声質がカルメンにぴったし。初めて聞く名前の歌い手だったが、既にメト等でもカルメンを歌っているという経歴もうなずける出来栄えであった。容姿は超イケメンだが、歌は全くパッとしないエスカミーリョ(生の舞台では、エスカミーリョも外れが多いような気がする・・・)を除けば、ボリショイのスターというドルゴフのホセ、砂川涼子のミカエラも容姿・歌共に適役。タンゴーの指揮、鵜山の演出も手堅かった。

第2位 プッチーニ「三部作」 (9月6日午後6時半、新国立劇場)

プッチーニの三部作が全て一度で上演されることは稀で、「修道女アンジェリカ」は生の実演で聞いたことがなかったので、大変楽しみにしていた公演。期待に違わず、現在の二期会の総力を挙げた力演で素晴らしい上演であった。

まずは、デンマーク王立劇場他との共同制作というミキレットの演出が秀逸。一見全くテーマや雰囲気が全く異なる3つのオペラに対して、舞台装置や主役に連続性を持たせ、人生の輪廻という大きなテーマを聴衆に対して提起していた。すなわち、外套での、パリの下町の陰惨な汚れた運河を表現した殺風景なコンテナ舞台に始まり、これが修道女アンジェリカでは、コンテナが取り払われて、そのまま、これまた妙に陰惨なサナトリウムのような修道院となり、最後のジャンニ・スキッキでは、一見豪華な屋敷内の様子に代わったかと思うのも束の間、最後にはコンテナ舞台に戻り、三部作が統一された劇として構築されている。主役についても同様で、外套の不倫妻ジョルジェッタが夫に殺された若い情夫の死体を見て絶叫したかと思うと、そのままアンジェリカでは自分の子どもが若くして死んでしまったことを知って自殺する修道女になるといった具合。

また、二期会の歌手陣も上記のように主役は何役か掛け持ちして歌い演じていたが、かなり細かな芝居を演出家の意図に従って丁寧にしていただけでなく、歌も役柄に相応しい水準でよく揃っていた。ド・ビリーの指揮も少し遅めのテンポでオーケストラをしっかり鳴らし、三部作各々の雰囲気を実に味わい深く聞かせてくれて、素晴らしかった。

二期会は昨今あまり上演されていない演目を意欲的な演出等で上演することも多い一方、正直「はずれ」の公演も少なくないが(例えば、7月の「魔弾の射手」、元宝塚女優の集客力を期待してなのか知らないが、コンビンチュニーの演出も日和ってしまっていた・・・)、この三部作は大当たりであった。

第1位 ボーイト「メフィストーフェレ」 (11月16日午後7時、サントリーホール)

バティストゥーニ指揮の東京フィルの演奏会形式の上演。このオペラも日本ではほとんど上演されたことがなく、しかも、ダイナミックで壮麗な音作りをするのが得意なバティストゥーニの指揮とあって、これも三部作同様、本当に心待ちにしていた公演だったが、実に素晴らしく、ボーイトのこの異形のオペラの魅力にノックアウトされた。

バティストゥーニはともすると演目によってはオーケストラを鳴らしすぎてちょっと辟易することもあるのだが、このオペラは鳴らしすぎても足りない位の圧倒的な力感が必要とされるから、彼の長所がそのままこのオペラの魅力を伝えていた。新国立劇場合唱団をはじめとする複数の合唱団で構成されたコーラスもオケに負けず、大迫力で見事。

歌手陣も、スポッティのメフィストは少し善人過ぎてデモーティッシュな迫力には欠けたが、急遽代役で登場のパロンビの明るいイタリア声で歌われたロマンテックなファウスト、まだ若手とは思えない陰影のある表情豊かなテレーザ・リーヴァのマルガリータ/エレーナ、いずれも素晴らしかった。

バティストゥーニ、ザンドナーイ、レスピーギ等の近現代のオペラも勉強・研究しているようだから、今後、これらの秘曲の上演も期待したい(レスピーギの「ラ・フィアンマ」なんか彼にぴったしのはず)。

今年一年、良い舞台に巡り合えますように・・・。

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