極私的2013舞台ベスト5&番外編(美術展)

あと少しで年越しでございますが、年越しそばを食べて、紅白を見ていたのですが、あまり面白くないので、以前から暖めていた企画を年末最後に投稿させていただきたいと思います。

私の息抜きは、仕事の合間を見つけて目ぼしいオペラ等の舞台に出かけることと美術展に出かけること、日帰り温泉に出かけてまったりすること、親しい友人とおいしい物を食べ歩くこと等です。舞台に出掛ける時は、劇場の活き活きした空気に触れて、夢心地の異次元の世界に誘ってもらえることを期待しますし、美術展に出かける時は、1時間か1時間半の間、仕事のストレスを忘れ去って、美しい忘我の世界で遊ばせてもらいたいと思って、美術館に向かいます。

しかし、現実は、劇場の開演時間に遅刻しロビーで次の休憩時間まで待たされる、客席で日頃の疲れのため(あるいは舞台がつまらない、演奏が退屈等という理由のこともかなりの確立でありますが、笑)寝入ってしまい半分くらい舞台を見ていない(一番ひどかったのは、数年前の年末に国立劇場で真山青果の元禄忠臣蔵通しをやったとき、休憩時間以外ほとんど寝ており、気が付いたら討ち入りが終わっていたということがあります)等ということがままあります。

それにも関わらず、「当たりの舞台」に当たった時の舞台の魔力には勝てず、とりあえず先の予定が立っていなくとも、目ぼしい舞台のチケットは早めに買って、可能な限りスケジュール調整をして、足を運びます。そうは言っても、仕事の関係等で行けなくなることも多く、その場合には家族や友人にチケットを上げて、事後に感想を聞くことで我慢します(「素晴らしかった」、「良かった」等と聞くとちょっと悔しい気はしますが・・・)。

今年は事務所を立ち上げたこともあり、例年になく劇場に足を運ぶ機会が非常に少なく(新装なった歌舞伎座にも仕事の打ち合わせで銀座に行った際に前を通っただけで、芝居は見ていませんし、ミュージカルは一本、演劇はゼロです)、また、せっかくのヴェルディ・ワーグナーの記念年なのに食指が動く舞台もほとんどなく(スカラ座の来日公演で何でドゥダメルのリゴレットとハーディングのファルスタッフを高額チケット買って見に行かなければならないの?、ガラコンサートだけは行きましたが、あまりぱっとしませんでしたね、スチュアート・ニールの巨体と歌のガサツさににはびっくり致しましたが・・・)、行った舞台も今ひとつのものが多く、正直申し上げて、あまりぱっとしない一年でした。

本来であれば、この手のものはベスト10発表といきたいところですが、上記のような事情で個人的には何とかベスト5を発表するのがやっとというところでございます。

第5位 ラ・フィアンマ(7/28 新国立劇場中劇場)
この大好きなレスピーギの秘曲オペラを取り上げてくれた東京オペラ・プロデュースの果敢な挑戦に敬意を表して。手元にある愛聴盤のローマ歌劇場の壮絶な演奏の迫力には遠く及びませんが、この曲の持つ一種独特のカタルシスの幾許かは感じることができました。オーケストラはなかなか健闘していたと思います。ただ、このオペラ、大半の人はつまらないと言うんでしょうねぇ。

第4位 ホフマン物語(12/1 新国立劇場大劇場)
新国のこのプロダクションを見るのはたぶん3回目だと思いますが、演奏自体は今回が一番よくまとまっていたように思います(初演の際には、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのフォークトのホフマンの清冽な歌唱、二回目の時のガランチャのズボン役は今でも印象に残っていますが、プロダクション自体はあまりまとまりがなかったような印象です)。何よりもシャスランの指揮が緩急をたっぷりつけて、この幻想的なオペラの雰囲気をしっかり表現できていましたし、歌手陣も突出した人がいない代わりに、各々が役柄にふさわしい柄のしっかりした歌唱を披露していました。年末に大好きなホフマンを聞けて幸せでした。

第3位 アイーダ(3/24 新国立劇場大劇場)
このゼッフィレルリの著名なプロダクションを見るのも数回目ですが、上演されるときには必ず足を運んでいます。新国立劇場開場記念の際の、当時全盛期のホセ・クーラの輝かしいラダメスと多少粗いもののグレギーナのアイーダのドラマティックなド迫力は今でも鮮烈に記憶しています。今回はヴェルディ・ワーグナーの記念年なのにぱっとした舞台がなかったこと、やはり何回見てもいい意味でトラディショナルなオペラの舞台の見本と言うべきゼッフィレルリの舞台作りが美しいこと、コルネッティのアネムリスが素晴らしかったことに鑑みて、ここに挙げさせていただきます。

第2位 ハムレット(9/1 神奈川県民ホール)
欧米ではここ数年割と上演されていますが、たぶん日本初演のトーマのオペラ。首都オペラという団体の演奏は初めて聴きましたが、基本的にはアマチュアのオペラ団体ということであまり期待しておりませんでしたが、これがなかなかどうして熱のこもった立派な出来栄えで、下手なプロ団体のつまらない上演よりもずっと良かったです。それに加えて、特筆すべきは、この日の主役、森口賢二さんのハムレットの素晴らしさ。少し前の藤原歌劇団のロッシーニのセビリャの理髪師のフィガロもコミカルでよかったですが、今回、フィガロとは正反対のくらーいインテリの役を芝居も含めて、見事に演じ切っていました。今後の活動をぜひチェックして追いかけさせていただきたいと思いました。

第1位 アンドレアス・オッテンザマー・クラリネットリサイタル(5/13 武蔵野文化会館(小))
平日夜7時に三鷹、しかも駅から徒歩10分弱というのはかなりハードルがありますが、武蔵野文化事業団の主催のコンサートは、目ぼしいものは発売日にチケット買わせていただいております。ピアノにしろ、ヴァイオリンにしろ、声楽にせよ、話題の若手の演奏を1000-3000円程度で聞けるというのですから、目ぼしい公演のチケットはすぐに売切れてしまいます。私自身、20年以上前からここの公演には足繁く通わせていただき、いわば「生活の一部」になっていると言っても過言ではないかもしれません。
今年は、オペラ・バレエ等に目ぼしいものが少なかったこともあり、このベルリンフィル主席奏者というイケメン、オッテンザマーのクラリネットが一番印象に残りました。古典からジャズまで易々と弾き抜く演奏技術の高さ、音楽性の高さ、びっくりするような美しい音色、夢のような時間でした。ピアノ伴奏の菊池洋子の感受性豊かな美しいピアノも見事でした(この人は今度ソロコンサートに行ってみたいと思います)。
なお、武蔵野の公演では、他に、ソプラノ2人のコンサートも印象に残りました(9/13 セダ
・オルタック、まだ相当荒削りですが、トゥーランドット、マクベス夫人、ジョコンダ、アビガイッレという重量級のレパートリーを物凄い声量で歌い上げていて、この手のドラマティックソプラノ大好きな私としてはたまらなかった、10/8 ベアトリス・ディアス、まだ若さは残るものの、美声かつ表現が多彩で、美しい外見によらず、意外に喉も丈夫そうで、ステージプレゼンスも含めてとても素敵な歌い手でした)。

番外編 狩野山楽・山雪展(京都国立博物館)

舞台同様、今年は美術展に出かける機会も例年になく少なかった一年でした。その中でダントツに素晴らしかったのが、5月の連休に出張に合わせて無理して出かけた京博の狩野山楽・山雪展。閉館時間になり学芸員に会場追い出されるまで、二時間ほど「美の桃源郷」でうっとりさせていただきました。東京と違って、これだけの展示会にも関わらず、あまり人が入っていないのもびっくり。

という訳で、大晦日の十時半から書き始めたこのマニアックな記事、何とか年越しまでに書き終えることができました。読んでいただいた方、ありがとうございました。

来年も素晴らしい舞台・美術展に出会えますように。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です